2026.10.23家・お部屋づくり
実家をリフォームして住むのはあり?向いている家族と費用・注意点

「親の家をリフォームして住めば、家を買うより安く済むのでは」⸺そんな期待を持つのは自然なことです。一方で「自分たちに本当に合うの?」と、決めきれない方も多いでしょう。
家を建てる費用も、土地の値段も上がっている今、実家リフォームは有力な選択肢のひとつです。ただし、誰にでも合うわけではありません。
まず、ご家族が実家リフォームと相性がいいかを確かめる。そのうえで、必要なリフォームの内容を決める。この順番で考えると、迷う場面が減ります。
この記事では、相性の確かめ方や優先したい工事、費用の決まり方、そして契約の前に決めておきたいことまで順番に紹介します。
実家をリフォームして住むのはあり?

結論から言うと、条件が合う家族にとって、実家のリフォームは「あり」です。その理由をご説明します。
実家をリフォームして住むメリット
まずは、実家リフォームのメリットから整理していきましょう。
実家をリフォームして住む主なメリットは、次の2つです。自分にも当てはまるか考えながら、読んでみてください。
▼実家の有効活用
実家なら土地はすでにあるので、初めて家を取得する場合と違って土地代がかかりません。その分の予算を、建物を直す工事に回せます。
土地や住宅の価格は、ここ数年、上昇傾向が続いています。国土交通省の不動産価格指数でも、2025年12月の住宅の指数は1年前を上回る水準です。
価格が上がるほど、土地代のかからない実家の強みは大きくなるはずです。
▼空き家放置リスクの回避
人が住まない家は風が通らず、湿気がこもって傷みが早く進みます。空き巣の心配や、草取り・見回りに通う手間も重なります。
広島県でも令和5年の調査で空き家が231,400戸と過去最多となり、住宅数の15.8%を占める状況です。人が住んで風を通すことが、そのまま家を傷ませない手入れになります。
参考:広島県「令和5年住宅・土地統計調査(住宅及び世帯に関する基本集計)の結果概要(広島県分)」
実家リフォームが向いている家族
一方で、実家をリフォームして住むのが向いているかどうかは、家族によって異なります。
つづいて、向いている家族と、他の選択肢も検討したい家族の特徴を整理していきましょう。
▼向いている家族
新築や中古住宅の購入にはない、実家ならではの強みが生きるのは、次のような家族です。
| 向いている家族 | 実家ならではの強み |
|---|---|
| 実家のある場所で暮らす理由がある | 親の近くや育った学区で暮らせ、土地探しから始めずに済む |
| 家の履歴を親から聞ける | 修繕や雨漏りの履歴が分かり、直す場所の見当をつけてから見積もりに進める |
| 残したいものがある | 柱に残る背比べの傷や、祖父母が手入れしてきた庭を、暮らしの一部として残せる |
| 相続について親や兄弟姉妹と話ができる | リフォーム代を誰が出すかを、相続まで見据えて決められる |
4つめの相続について、少し補足します。親名義のままの実家は、相続のとき、兄弟姉妹などの相続人で分け方を決める財産のひとつになります。
自分が出したリフォーム代や、自分の家族だけが実家に住んできたことをどう扱うかで、相続のときに話がこじれることもあります。
前もって話しておけば、あとで「不公平だ」と言われる心配を減らせます。
▼他の選択肢も検討したい家族
実家に移ると通勤・通学が著しく不便になる家族は、住み替えも検討したいところです。立地は、工事では変えられません。
親と住むなら、合意形成の方法も決めておきましょう。最後に誰が決めるかがあいまいだと、決まったことが打ち合わせで覆り、工事の中身も予算も組み直しになります。
とくに配偶者にとっては、自分の意見を言いづらい場面も多いのではないでしょうか。本音を聞けているか、一度確かめてみてください。
「リフォーム」vs「建て替え」の判断基準
リフォームか建て替えかの大きな分かれ目のひとつが、基礎や柱といった構造の傷み具合。大きな修理が必要なほど構造が傷んでいれば、建て替えのほうが合理的な場合もあります。
ほかにも、いまの土地で建て替えができるか、どこまで性能を上げたいかで答えは変わります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
関連:建て替えとリフォームの違い|どっちがいい?迷ったときの判断基準を解説
長く住むために優先したいリフォーム工事は?

基礎や柱のように、家を長く支える部分ほど、外からは見えません。実家に長く住むつもりなら、まずこの見えない部分の工事を優先しましょう。
目視で確認できないところが大切
実家を長く使えるかどうかは、壁紙や設備ではなく、壁の中や床下の状態で決まります。
傷みを残したまま内装だけを新しくすると、あとでその傷みを直すときに、仕上げたばかりの壁や床をはがすことになりかねません。
優先したいのは、次の4つです。
- 耐震補強:壁の量や配置、柱と土台の留め方を見直す
- 断熱改修:壁・床・天井の断熱材と、窓を見直す
- 給排水管:床下や壁の中を通る、古い水道管や排水管を取り替える
- シロアリ被害:床下の土台や柱が食べられていないか調べ、直す
耐震で目安になるのは、建てた年です。1981年(昭和56年)6月に今の耐震基準が始まりました。たとえば広島県の耐震の補助は、それより前に着工した家を対象にしています。
じつは、2000年にも、木造住宅の柱と土台の留め方などの基準が変わっています。そのため、1981年から2000年までに建てた木造住宅を、補助の対象に含める自治体もあります。
対象になる年は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村で確かめてみてください。
関連:耐震・免震・制震、結局どれがいい?既存住宅でできる地震対策を解説
関連:断熱リフォームの進め方ガイド|種類・費用・補助金を整理
壁の中や床下は、目視で簡単に見ることができません。ただ、実家には見えないところを知る手がかりがあります。長く住んできた親の記憶です。
いつ、どこを直したか。雨漏りはあったか。老朽化が気になるところはないか⸺こうした家の履歴を聞くと、調べるべき場所が絞れます。
医師が検査の前に、問診で持病や病歴を聞くのと同じです。実家は、前の住人に履歴を聞ける中古住宅。聞けるうちに聞いておくことが、効果的な下調べになります。
二世帯で暮らすなら
親と一緒に暮らすなら、見えない部分に加えて、2つの世帯が無理なく過ごせる備えが要ります。
まず見直したいのは、次の3つです。
| 見直す場所 | 気をつけたいこと | 備え |
|---|---|---|
| 電気の容量 | エアコンや調理家電を同時に使う場面が増え、ブレーカーが落ちやすくなる | 家全体や回路ごとの容量を見直す |
| 段差 | 夜中に親が寝室からトイレへ向かう通り道 | 段差をなくす、手すりを付ける、引き戸に替える |
| 冬の浴室 | 高齢者の入浴中の事故は、冬の寒い時期に多く起きている | 脱衣所を暖める、断熱改修で家の温度差を縮める |
段差の工事は、親が要介護認定などを受けていれば、介護保険の住宅改修を使える場合があります。
実家リフォームの費用はどう決まる?

リフォームは、どこまで手をつけるかで費用が大きく変わります。
つづいて、費用を左右するポイントと、見積書で確かめたいことを見ていきましょう。
費用を左右する5つのポイント
実家リフォームの費用は、現地で家の状態を見て、工事の範囲を決めて初めて分かります。金額を左右するのは、主に次の5つです。
| ポイント | 費用が変わる理由 |
|---|---|
| 傷み具合 | 築年数が同じでも、これまでの手入れで傷みの程度が変わる |
| 工事の範囲 | 部分的に直すか、家全体を直すかで変わる |
| 性能の上げ幅 | 耐震や断熱、設備のグレードをどの水準まで上げるかで変わる |
| 水回りの数 | 二世帯でキッチンや浴室を2つにすると、設備と配管の工事が増える |
| 仮住まい | 家を空ける必要があるなら、仮住まいと引っ越しの費用がかかる |
傷みが表面や設備で止まっていれば、範囲を絞りやすく、新築や購入より費用を抑えやすくなります。壁の中や床下まで傷んでいると直す範囲が広がり、建て替えとの差は縮まってしまいます。
見積もりは、この5つの視点で確認しましょう。なお、実家に残る荷物の片付けや処分の費用を見落としやすいので、ご注意ください。
見積もりで確かめたいこと
見積もりを受け取ったら、合計の金額より先に、何が含まれているかを確かめましょう。実家リフォームでは、次の4つが大切です。
- 調査の範囲:床下や天井裏まで見たうえでの見積もりか
- 解体後の扱い:傷みが見つかったとき、どんな流れで追加の見積もりが出るか
- 補助金の対象:使える制度があるか、申請は誰がいつするか
- 工事中の暮らし:住みながらできるか、仮住まいが必要か
なかでも気をつけたいのが、解体後の追加工事です。親に聞いた履歴や事前の調査で、調べる場所は絞れます。それでも、こうした追加をすべて防ぐことはできません。
リフォームの規模に応じて、予備費を残しておくと安心です。
実家をリフォームして住む際の注意点・失敗事例

実家リフォームの失敗は、工事の中身だけでなく、お金と手続きの順番でも起こります。
ここで紹介する2つの事例は、どちらも契約の前に手を打つことで防ぎやすくなります。
親名義の家のリフォーム費を子が払うと贈与税がかかることも
1つめは、親名義の家の工事費を、子が払うパターンです。工事で家の資産価値が上がれば、得をするのは名義人(親)です。
このケースでは、子のお金で親が得をした形になります。そのため、親が子から贈与を受けたとみなされて、贈与税の対象になることがあります。
一方、国税庁の質疑応答事例に、子が増築した家で、親が持分の半分を子に時価で売った例があります。代金は子が肩代わりした親の分の工事費と相殺したので、贈与税はかからないとの回答です。
参考:国税庁「父所有の家屋に子が増築した場合の贈与税の課税関係」
ただし、持分を譲ると別の税や費用がかかることもあります。家ごとに扱いは変わるので、契約の前に、税務署か税理士に自分の場合の扱いを確認しておくと安心です。
また「名義」と「工事代金を支払う人」をどうするか、契約の前までに決めておきたいところです。リフォーム会社に相談する際、誰の名前で契約するか、どの制度が使えるかまで話し合えます。
補助金の申請前に契約・着工してしまう
2つめは、使えるはずの補助金を、申請の前に契約や着工をして逃してしまうパターン。補助金を給付している事業によっては、契約・着工前の申請が必要です。
主な制度の申請のタイミングは、次のとおりです。
| 制度 | 主な対象 | 申請のタイミング |
|---|---|---|
| 広島県の木造住宅の耐震化の補助 | 東広島市など18市町の、昭和56年5月31日以前に着工し、耐震性が足りない木造の一戸建て | 交付決定の前に契約・着工すると対象外 |
| 住宅省エネ2026キャンペーン(国) | 窓・給湯器・断熱改修などの省エネ改修 | 工事の完了後に、工事を請け負う会社が申請。予算に達した時点で終了 |
| 介護保険の住宅改修 | 手すりや段差の解消など(要介護認定などが必要) | 工事の前に市区町村へ申請 |
県の耐震の補助は、市町の窓口との事前協議が欠かせません。区域などの条件も、市町ごとに違う場合があります。
国のキャンペーンは、契約の前に、工事を頼む会社が申請に対応しているかを聞いておきましょう。最新の条件は、各制度の公式の窓口で確認してください。
使う制度は、契約の前に決めておきましょう。制度選びで迷ったら、リフォーム会社にも相談してみてください。
参考:広島県「令和8年度 広島県木造住宅耐震化促進支援事業について」
参考:住宅省エネ2026キャンペーン
まとめ:実家をリフォームして住むなら、家の履歴を親に聞いておこう
実家のリフォームは有力な選択肢ですが、誰にでも合うわけではありません。まずは、ご家族と実家リフォームの相性を確かめましょう。
相性を確かめたら、工事は耐震や断熱など、壁の中や床下に隠れた部分を優先します。親御さんの記憶や修繕歴をリフォーム会社と共有すれば、調べる場所を絞りやすくなります。

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